NHKスペシャル 3/17放映「古代史ミステリー」はキワモノか?

NHKスペシャル 古代史ミステリー 第1集「邪馬台国の謎に迫る」(初回放送2024/3/17)、第2集「ヤマト王権 空白の世紀」(初回放送2024/3/24)は、とても見ごたえのある内容でした。番組では何故か邪馬台国畿内説の立場をとりましたが、最近の発掘調査と科学的知見、新たに発見された遺物から畿内説を補強した上で、弥生時代終わりの卑弥呼から古墳時代へと、東アジア全体をグローバルに捉えてストーリーを組み立てており、素人向けには説得力があるように感じました。

しかし邪馬台国の所在は九州説と畿内説があり、日本史の中でも特に活発な議論が行われているトピックの一つです。文献史学に重きを置く研究者は九州に邪馬台国が存在したと主張し、考古学的な証拠を重視する研究者は畿内地方、特に纒向遺跡などから出土する遺物の年代や特徴から畿内説を支持しています。どちらの説も、それぞれ有力な根拠を持っており、現在も多くの研究者によって様々な角度から研究が進められています。

その中で「邪馬台国は近畿説で決まり!」とするこの放映には少し違和感があり、キワモノではないか?との想いが否めません。発掘調査や科学的知見の進展によって、新たな発見があったのであれば、畿内説を補強するものとして事実だけを伝え、九州説の論拠に丁寧に反論した上で番組のストーリーを展開すべきでしょう。

日本の古代史に全くの素人のわたくしでさえ、『魏志倭人伝』に記された記述、『日本書紀・古事記』に書かれている古代、特に神武東征や様々な伝承とどのように整合するのか?など、疑問が次々と湧きます。まして九州説を主張する多くのアマチュアやプロの研究者においては、なおさらではないでしょうか。

見ごたえのある内容でしたが、疑問の多い番組です。

 

 

 

 

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